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八日目の蝉 [本]

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蝉は成虫になって七日で死んでしまうが、もし八日目まで生き延びた蝉がいたとしたら、その蝉は何を見、何を思うのか・・・愛人の子供を誘拐し四年間逃亡する野々宮希和子。事件を引きずって生きている当の被害者、恵理菜。その荒唐無稽なサスペンスが話題を呼んだ角田光代の小説。

誘拐した子供を薫と呼び、東京から名古屋、そして「エンジェルホーム」といういかがわしい宗教施設に身を寄せることになる希和子と薫。誰が見ても普通の親子にみえるが、それも所詮は砂の城でしかなく、警察の影におびえ、施設を抜け出し瀬戸内海の小豆島にたどり着く。

島の温かい人たちに囲まれ束の間の幸せを感じる希和子と薫だが、一枚の写真がもとで、ついに逮捕される。2章では誘拐された恵理菜(薫)の苦悩とエンジェルホームにいたマロンちゃんこと千種との再会、事件を記事にしたいという千種に誘われ小豆島に向かう二人の姿を描く。

母とは何か、家族とは・・・憎しみだけではなく母性という生理的な動機で犯罪を犯すことになる希和子の心理とは・・・親でもなく女でもない私には理解できないこともありますが、人の営みの複雑さを考えさせられます。しばらく尾を引きそうな不思議な小説。今でも私の脳裏にはあの光を跳ね返すようなぎらぎらした瀬戸内のきらめく波濤が浮かんでいます。

NHKでドラマ化された(壇れい・北乃きい)が、来月には映画版(永作博美・井上真央)が公開されるそうです。


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