一千一秒物語 松田聖子 [好きな歌]
それにしても今年の9月は暑い。8月がふた月あるみたいだ。私は1980年に高校を卒業し社会人になったので、80年引退の山口百恵と80年デビューの松田聖子は私にとってエポックメイキング的な存在になっている。デビュー時、のびやかなハイトーンだった松田聖子は、殺人的なスケジュールのため喉を痛めてしまい、ハスキーな歌声に変貌するが、それがいい面に出て、ただのアイドル歌手以上の歌唱力を得ることになる。
この歌が収録されているアルバム「風立ちぬ」A面は、松本隆の作詞、大瀧詠一作曲、多羅尾伴内(鈴木茂)編曲という元はっぴいえんどのメンバーが参加したことでも有名で、今でも異常なほどの高評価で知られる名盤。この曲はシングルカットもされていないし、ベスト盤に収録されることもないが私にとっては隠れた名曲のひとつ。
大瀧詠一らしさが満載の曲で、いきなりサビから歌いだすのには度肝を抜かれる。スケールの大きなストリングスのアレンジは、自身のシングル「恋するカレン」によく似ているが、この曲はロネッツの「Be My Baby」がモチーフなので、たどりつくのは名プロデューサー、フィル・スペクターということで決着する。
内容は恋する女の子の揺れ動く心情を歌ったロマンティックなもので、別に物語風でもないのに、大正時代に稲垣足穂が書いた、これまた物語らしからぬ「一千一秒物語」にかけた松本隆の狙いは見事。今、私のようなおじさんが聴くと赤面ものの曲ではありますが、当時は私も青春真っ盛り、甘酸っぱいような思い出とともに、心の中に閉じ込めて封印しているような歌の一つです。だから好きでもめったに聴くことはありません。
佐野元春と松本隆の対談で、松本隆さんは、「B面も、力を抜かなかった。B面まで、マジに作った。」と笑いながら言ってました。
のちに、制服、SWEET MEMORIES、などヒットしてますね。
私、持っていますよ、Seiko-Box。
by たそがれ川兵衛 (2010-09-12 10:09)
たそがれ川兵衛殿コメントありがとう。
さすがに4枚組のSeiko-Boxには入ってましたかこの曲。
あの頃、難曲といわれた「風立ちぬ」をあっさりこなす
松田聖子の歌唱力に驚いたものです。
by TK (2010-09-12 11:10)