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武士道シックスティーン [本]

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 作:誉田哲也

子供の頃、剣道をやっていたことがある。ひ弱で病弱としか言いようがなかった私(今は面影もないが・・・)が剣道を始めたのは、たぶん頼まれたら断れない優柔不断な性格が災いしたに違いない。冬休みの小雪舞う寒い朝も稽古に出かけ、村や郡の大会にも何度か出場したが、だいたい1回戦ボーイだった。ほとんど2本取られて完敗のシーンが多かった。

ただし一度だけ前年優勝した強敵に勝って銅メダルをもらったことがあった。今考えても不思議なことだけど、圧倒的に手数の多い相手に攻め込まれ、つばぜり合いで押されまくったのに、なぜか竹刀の乾いた音が綺麗に響くような面が決まったのだ。はまったとしか言いようがないが、そのあとは時間まで逃げまくっていた。相手にしたら谷(田村)亮子が前半指導を取られてそのままポイントがなく負けてしまったようなものだったろう。

この小説の二人の主人公に例えるなら、私は西荻早苗で相手の少年剣士は磯山香織みたいなものか。武蔵の五輪の書を愛読するような剣道オタクの香織はあくまで勝負にこだわり、中学最後の大会で負けた無名の剣士「甲本」(その後両親の離婚で西荻に改姓)と決着をつけるため、同じ高校に進学する。一方早苗は日舞が出来なくなったため仕方なく剣道を始めたという、あまり勝負にこだわらないお気楽な剣士。当然、香織はその態度が許せない。自分に勝った相手には常に強くいてもらいたいという、押しつけがましい理由で、早苗に自分の思いをぶつける。

今時の若い高校生の気持ちなんて、わかるはずもないけれど、香織と早苗の心の葛藤や、不安、理想と現実のギャップの刹那さ、自分の目指すべき剣道とはなにか?立ち止まらず突っ走る香織の姿に、応援したい気持ちが湧いてきて、気がついたら、6時間ほどで読み切ってしまった。ぜひ若い人に読んでもらいたい小説です。

この小説、GWに映画化されて上演されますが、磯山香織に成海璃子、西荻早苗に北乃きいという、まさにうってつけのキャスト。今から楽しみです。   

映画公式サイト→http://www.bushido16-movie.com/

文藝春秋特設サイト(小説)→http://bunshun.jp/pick-up/bushido18/index.html

 


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